今年も夜に響く「リーンリーン」という大合唱。うちの家やアパートでもアオマツムシが大量発生し、掃除しても追いつかないほどでした。なぜこんなに増えてしまうのでしょうか。この記事では、実体験を交えながら、大量発生の原因やキリギリス・バッタとの違い、そして効果的な対策まで解説します。
わが家で起きたアオマツムシ大量発生の記録
お盆明けから、わが家では毎朝ちょっとした“虫の墓場”状態になっています。玄関先やテラスの窓辺には、アオマツムシとキリギリスの亡骸がそれぞれ20体以上ずつ、静かに横たわっているのです。
アオマツムシ 出典元:http://kanon1001.web.fc2.com/
最初の頃はアオマツムシが優勢で、比率は8:2。しかし季節が進み、10月目前の今ではキリギリスが逆転し、2:8の割合に。虫たちの勢力図にも、秋の深まりが表れているようです。
原因のひとつは、家の周囲に散布した「蜘蛛の巣スプレー」。これが驚くほどの効果を発揮していて、一度の噴霧で数十日間は虫の活動を抑えてくれます。ドアを開ければ当然侵入されますが、侵入した虫はしばらくすると弱って動かなくなっており、毎朝玄関を水洗いしても効果が落ちないのは、正直ちょっと怖いくらいです。
夜になると、虫たちは光を求めて玄関や窓に集結。玄関を開けた瞬間、4〜5匹がスッと室内に入り込んできます。私はムカデ以外の虫なら、体に止まってもあまり気にしないタイプですが、家族はそうもいかず「早く取って!」と懇願される日々。
捕まえて外に逃がそうと窓を開けると、逆に新たな虫が入ってくるという“虫ループ”に陥ることも。そんな時は、やむを得ずお別れを告げることになります…。
SNSでも同じ声が多く、
「ずっとキリギリスだと思ってたらアオマツムシだった」
「夜うるさすぎて眠れない」
といった投稿が多く見られます。
「暖冬で越冬に成功し、今年も大量発生している」
引用元: 福島ニュース【福テレ】(2025年9月17日放送)
https://www.youtube.com/@ftv-news
つまり、気温の影響でアオマツムシの生息数は年ごとに大きく変動しているのです。
我が家にくるキリギリスと思って調べてみたらヒメクダマキモドキという名前らしいツユムシの仲間
アオマツムシ大量発生の仕組みと原因
アオマツムシが大量発生する背景にはいくつかの要因があります。
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暖冬の影響
本来は寒さに弱い昆虫ですが、近年の暖冬で冬を越す個体が増えています。これにより翌年の発生数が爆発的に増加。 -
繁殖力の高さ
1匹のメスが数百の卵を産み、温暖な環境が整うと短期間で大群へ。 -
都市部の環境
街灯や建物の明かりに集まりやすく、集合住宅の廊下やベランダに集中する傾向があります。
このように、気候と都市環境が「大量発生の仕組み」を作っているのです。
アオマツムシはどこから来た?外来種のルーツ
原産地や渡来の経緯については諸説ありますが、中国から輸入苗木について入ってきたという説が有力です。1898 年(明治31年)に東京の赤坂で始めて記録され、日本では本州(岩手以南)、四国、九州、隠岐、五島列島に分布しています。都市部の街路樹の増加に伴い、生息地が奪われる在来種のマツムシやスズムシとは対照的に、アオマツムシは1970年代頃から急激に数を増やしています。
外来種であるため、生態系に与える影響も懸念されています。在来のキリギリスやバッタの生息域を脅かす可能性もあるのです。
バッタやキリギリスとの違いをチェック
アオマツムシはよく「バッタ」や「キリギリス」と間違えられます。違いを整理すると
アオマツムシ
出典元:https://parkinsect.exblog.jp/8621867/• 分類:バッタ目・コオロギ科
• 体長:約30〜40mm
• 鳴き声:「リーリーリー」と甲高く連続的に鳴く(特に夜間)
• 生態:
• 外来種(中国原産)で、都市部の街路樹や公園に多く生息
• 雑食性:葉だけでなく小昆虫も食べる
• 木の幹や人工物に産卵する習性がある
特徴:
• 翅はやや短く、体は平たくて動きが素早い
• 成虫は秋に多く見られる
• 幼虫は赤褐色で、成虫とはかなり異なる姿
キリギリス
出典元:https://www.nature-engineer.com/entry/2019/09/14/090000
• 分類:バッタ目・キリギリス科
• 体長:約30〜45mm(オスはやや小さめ)
• 鳴き声:力強く複雑で、「ギーッチョン」「チョンギース」などと鳴く
• 生態:
• 在来種で、本州〜九州に広く分布(東日本はヒガシキリギリス、西日本はニシキリギリス)
• 草食性:イネ科植物や広葉草を食べるが、小昆虫を捕食する例もある
• 河川敷や草地、農地など丈の高い草むらに生息
特徴:
• 緑色型と褐色型があり、環境によって体色が変化する
• 翅の長さに個体差があり、ヒガシ型は短翅、ニシ型は長翅が多い
• メスの産卵管は短く湾曲した鎌状で、種の識別に有効
• 触角は非常に長く、体長の2〜3倍ほどあり、感覚器として発達している
ヒメクダマキモドキ
出典元:https://www.orthoptera-jp.com/phaulula-macilenta
• 分類:バッタ目・ツユムシ科
• 体長:約34〜42mm
• 鳴き声:比較的静かで、鳴き声は控えめ(鳴かないことも多い)
• 生態:
• 在来種で、本州〜南西諸島に分布
• 草食性:広葉樹の葉を好んで食べる
• 海岸近くや都市部の緑地にも生息
特徴:
• 翅が細長く、葉っぱのように透け感がある
• 幼虫の背中に白い筋があり、脚に縞模様が入る
• 触角が非常に長く、優雅な印象
家でできるアオマツムシ対策
大量発生しても「人に害はない」と言われますが、放置すれば鳴き声や死骸で生活に支障が出ます。家庭でできる対策をまとめます。
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侵入防止:網戸の隙間を塞ぐ、窓やドアをしっかり閉める
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明かり対策:夜間はベランダや玄関のライトを控える
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清掃・駆除:死骸をこまめに掃除し、市販の害虫駆除スプレーを活用
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業者依頼:集合住宅や広範囲なら、専門の清掃業者に依頼
特にアパートやマンションでは、個人対策よりも「建物全体での対応」が効果的です。
私の家では「蜘蛛の巣スプレー」を玄関周辺に定期的に使用。侵入した虫がしばらくすると弱り、動かなくなるほどの効果があり、数十日間持続する。水洗いしても効果が落ちにくく、予防策として非常に有効です。朝、虫の死骸がころがります
金鳥 KINCHO
クモの巣阻止キンチョールジェット 450ml [殺虫剤] 価格1000~1500円
まとめ
毎年秋になると、静かな夜をかき乱す「リーンリーン」の大合唱。アオマツムシの大量発生は、気候や都市環境の変化によって年々深刻化しています。
わが家では「蜘蛛の巣スプレー」を使った予防散布が、思いのほか効果を発揮しました。侵入はされるものの、虫たちはしばらくすると弱り、朝には静かに横たわっている──そんな日々が続いています。
アオマツムシに悩まされている方は、まずは身近な対策から。網戸の隙間を塞ぎ、明かりを控え、必要に応じてスプレーや業者の力も借りながら、秋の夜長を少しでも快適に過ごしましょう。