お笑いトリオ「ロバート」の秋山竜次さん。最近は“変身芸人”というイメージの方が強いかもしれません。地毛のロン毛を武器に、謎のクリエイターやクセの強すぎる人物になりきる「クリエイターズファイル」シリーズで、今また注目を集めています。「あの人、なんでこんなに面白いんだろう?」という疑問に、今回はググッと迫ってみましょう。
秋山竜次(あきやま・りゅうじ)プロフィール
出典元:https://profile.yoshimoto.co.jp/talent/detail?id=52
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生年月日: 1978年8月15日
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出身地: 福岡県北九州市門司区
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所属: よしもとクリエイティブ・エージェンシー(吉本興業)
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学歴: NSC東京校4期生
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コンビ・トリオ: お笑いトリオ「ロバート」のボケ担当(メンバーは山本博、馬場裕之)
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代表的な活動:
- 『はねるのトびら』(フジテレビ)でブレイク
- 『クリエイターズ・ファイル』(YouTube、書籍、展示イベント)
- 映画・CM・ナレーションなど多方面で活躍
秋山竜次が面白い理由とは?
秋山さんが笑いを生み出す方法は、いわゆる“ボケとツッコミ”とは少し違います。
彼の芸風は「違和感をリアルに演じる」こと。これが唯一無二の武器になっています。
たとえば、YouTube企画『クリエイターズ・ファイル』では、“実在しそうだけど見たことない”絶妙なキャラクターに変身します。編集や構成もまるでNHKのドキュメンタリー風。だからこそ「本当にいるのでは?」という錯覚を生み、視聴者は“笑い”というより“にやけ”や“じわじわくる可笑しさ”を感じるのです。
「芸人が一人でやるコントって、芝居じゃないですか。どこまでリアルにできるかが勝負だと思ってるんです」
— NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』より
さらに、秋山さんはTシャツを使った「体ものまね」でも注目され、大谷翔平や梅宮辰夫といった著名人のネタで独自の笑いを展開。まさに肉体を使った表現芸として、“体芸”の新たな形を生み出しています。
出典元:https://qetic.jp/art-culture/robert-akiyama-170831/260097/
秋山竜次はどうやってキャラ作りしているの?
秋山さんのキャラ作りは、まず「観察」から始まります。
「この業界にいそう」「こういう人いたかも」という、“実在の匂い”を持つ人物像を細かく設計するのです。
ファッション界のカリスマ「YOKO FUCHIGAMI」や子役「上杉みち」、プロの取り巻き「白木善次郎」など、どれも一見あり得ないのに「いそう…」と思わせるリアリティがすごい。
YouTubeでは遠近法や編集トリックも駆使し、映像的にも“本人感”を演出しています。キャラが喋っているように見えて、実は秋山本人が完全に消えている。これが「俳優以上」と評される所以です。
NHK大河ドラマ『光る君へ』の撮影現場でも、空き時間にネタ帳を広げて“使えそうなネタ”をメモしている姿がたびたび目撃されており、その探究心と日常の観察力の鋭さが話題になっています。
NHK大河ドラマ『光る君へ』の撮影からひらめいた動画
なぜロン毛が重要なのか?
秋山さんといえば、あのロン毛。
実はすべて地毛です。ウィッグではなく、リアルに伸ばした髪をキャラ作りの“土台”にしています。
出典元:https://news.yahoo.co.jp/articles/8eb730c1e0b297e0630deb9cd6e95f358ad4e432
「地毛が一番。このロン毛には助けられている。しばらく続けたい」
—引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/8eb730c1e0b297e0630deb9cd6e95f358ad4e432
ロン毛は性別を問わず幅広いキャラに対応可能。YOKO FUCHIGAMIのような女性キャラから、ミュージシャン風の男性キャラまで、自由自在に“見た目の説得力”を出せます。
さらに、地毛であることのリアルさが、秋山さんのキャラに“本当にいそう感”をプラス。
まさに「髪型=信ぴょう性のトリガー」になっているんです。
なぜファンに長く愛され続けているのか?
出典元:https://creatorsfile.com/
「クリエイターズ・ファイル」は2015年にスタートし、すでに100キャラ以上、10年を超える長寿コンテンツに。
長く愛される理由は、“一過性のネタ”ではなく、“何度でも見返したくなるキャラの深さ”にあります。
最近ではNHK大河ドラマ『光る君へ』や、ドラマ『笑ゥせぇるすまん』にも出演し、コメディから本格演技まで幅広く対応。藤原実資や喪黒福造といったキャラも、秋山が演じると“どこかリアル”になるという不思議さがあります。
出典元:https://steranet.jp/articles/-/3193
また、秋山さんの熱烈なファンである“メモ少年”(篠田直哉プロデューサー)との共作番組『秋山の楽しすぎる約30分』など、世界観を広げるという今の時代らしい作り方も話題に。秋山さんの「誰にも似ていない芸」が長く愛される理由です。
芸人というより俳優?秋山竜次の演技力が高評価されるワケ
「もう芸人じゃない。役者の域」
そう言われるほど、秋山さんの演技力は評価されています。
秋山芸の3本柱といえば、
- 演技力(キャラを“やりすぎずに”成立させる技術)
- 発想力(「そこネタにする?」という切り口)
- アドリブ力(街ブラでも即キャラに変身)
たとえば『秋山ロケの地図』では、街歩きの途中で突如キャラに“なりきり”、地元民と即興劇を始めてしまう。どこまでが台本でどこからが即興かわからない。その自然さが笑いになります。
音楽特番『秋山歌謡祭』では、実際に自作の楽曲「TOKAKUKA」などを披露し、歌唱力の高さと中毒性あるメロディで音楽ファンの心まで掴みました。もはや“多才すぎるコメディアン”と呼ぶべき存在です。
まとめ
秋山竜次さんの芸は、もはや「お笑い」や「演技」というジャンルの枠を飛び越えています。
繊細な観察眼と大胆な発想力を武器に、見る人の“笑いの感覚”や“現実認識”さえ揺さぶる存在。
「違和感をリアルに演じる」ことで笑いを誘い、AI的な表現さえ吸収しながら、それを“人間らしいズレ”として表現してしまう感性は、まさに唯一無二。
ロン毛も、ネタ帳も、観察の鋭さも——すべてが秋山竜次というコンテンツの一部として機能していて、だからこそ、長く愛され続けるのです。
芸人の枠に留まらず、俳優・作家・表現者として進化し続ける秋山さん。
その“変身”の先に、今後どんなキャラクターが現れるのか…これからも目が離せません。