NHK朝の連続テレビ小説「あんぱん」で、俳優・妻夫木聡さんがついに“朝の顔”として登場。意外にもこれが彼にとって朝ドラ初出演。長いキャリアを持つ彼がなぜ今このタイミングで出演を決めたのか?
その背景には、偶然の再会や実在の人物をモデルにした奥深い役柄がありました。今回は、キャスティングの裏話や演じる「八木信之介」のモデル、そして妻夫木聡さんの“今”にフォーカスしてお届けします。
妻夫木聡(つまぶき さとし)プロフィール
出典元:https://www.horipro.co.jp/tsumabukisatoshi/
項目 | 内容 |
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本名 | 妻夫木 聡(つまぶき さとし) |
生年月日 | 1980年12月13日 |
年齢 | 44歳(2025年6月現在) |
出身地 | 福岡県柳川市(幼少期に神奈川県横浜市へ移住) |
身長 | 171cm |
血液型 | O型 |
職業 | 俳優、ナレーター、声優 |
所属事務所 | ホリプロ |
デビュー年 | 1998年(俳優デビュー) |
配偶者 | マイコ(女優、2016年結婚) |
子ども | あり(人数非公表) |
🎬主な代表作
映画
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『ウォーターボーイズ』(2001年)主演・鈴木智役
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『ジョゼと虎と魚たち』(2003年)主演・恒夫役
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『悪人』(2010年)主演・清水祐一役(日本アカデミー賞最優秀主演男優賞)
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『怒り』(2016年)主演・藤田優馬役
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『本心』(2024年)野崎役
テレビドラマ
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『オレンジデイズ』(2004年、TBS)主演・結城櫂役
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『天地人』(2009年、NHK大河)主演・直江兼続役
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『家族のカタチ』(2016年、TBS)主演・永里大介役
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『危険なビーナス』(2020年、TBS)主演・手島伯朗役
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『あんぱん』(2025年、NHK朝ドラ)八木信之介役(朝ドラ初出演)
妻夫木聡が語る朝ドラ初出演の舞台裏
異国での再会がキャスティングの鍵だった
朝ドラ「あんぱん」への出演は、実は“偶然の再会”から始まったものでした。
NHK制作統括の倉崎憲プロデューサーは、かつて2013年のラジオドラマ『世界から猫が消えたなら』で妻夫木さんを主演に起用。その後、2023年秋にロサンゼルスで偶然再会を果たし、その場で「あんぱん」への出演をオファーしたといいます。
「やなせさんの物語で、嵩に影響を与えるような役を考えていると言ってくださったのがすごくうれしかったです」
引用元:スポニチアネックス 2025年6月9日
まるでドラマのようなキャスティング秘話が、今回の起用につながっていました。
「ずっと夢だった」朝ドラへの思い
映画や大河ドラマで主演経験も豊富な妻夫木さんですが、意外にも朝ドラ出演は今回が初めて。
本人も「ずっと夢だった」と語る通り、念願の実現でした。
「温かくて、時には厳しくて、大きな愛で包んでくれるこの作品は、きっと見てくれた方々の心にぽっと明かりを灯してくれると確信しています」
引用:NHK公式コメント
なぜ今?妻夫木聡の初出演が実現した理由
朝ドラと無縁だった27年間
出典元:https://eiga.com/movie/40335/
1998年のデビュー以来、映画『ウォーターボーイズ』『ジョゼと虎と魚たち』、NHK大河『天地人』など数々の名作に出演してきた妻夫木さん。しかし、これまで朝ドラ出演は一度もありませんでした。
これは本人の選択というよりも、作品とのタイミングやテーマ性の問題だったのかもしれません。
今のタイミングで選ばれた理由とは
「あんぱん」は、『アンパンマン』を生み出したやなせたかしさんと妻・暢さんの夫婦の物語がモチーフ。
妻夫木さんが演じるのは、やなせ=柳井嵩(北村匠海)と戦地で出会い、その後の人生に大きな影響を与える“戦友”八木信之介。
冷静で詩や文学に通じた八木は、嵩の才能を見抜き、人生の支えとなる人物。
その繊細かつ深い役柄は、今の妻夫木さんだからこそ演じられる重みがあるのです。
八木信之介のモデルは誰?やなせたかしとの関係性
モデルは2人の実在人物、新屋敷上等兵と辻信太郎
八木信之介は完全なフィクションではなく、実在の2人の人物がモデルとされています。
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新屋敷上等兵(戦地での戦友)
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辻信太郎氏(詩集出版を後押し、後のサンリオ創業者)
戦中と戦後、それぞれのフェーズでやなせたかしさんを支えた2人の存在が、八木というキャラの中に融合されているのです。
戦場で出会った新屋敷上等兵の存在
「三年兵で鬼屋敷と呼ばれて恐れられていたが、なかなかの快男子で、特に馬の扱いには優れていた。上等兵殿が風よけになって、いくらかリンチの嵐は防げた」
(やなせたかし『アンパンマンの遺書』岩波書店)
嵩に厳しくも優しく接する八木の言動は、やなせさんのこの実体験がベースになっています。
詩集『愛する歌』と辻信太郎の支援
出典元:https://www.tokyo-np.co.jp/article/270651
1966年、やなせたかしさんは詩集『愛する歌』を出版します。このきっかけを与えたのが、当時山梨シルクセンター社長だった辻信太郎氏。
「学生時代、西条八十の『蝋人形』を愛読していた詩人肌の文学青年。後にキティちゃん誕生につながる“感性重視の企業文化”をつくった」
(やなせたかし『アンパンマンの遺書』)
この人物像が、八木信之介の“詩と文学を愛する知的な男”というキャラクターに色濃く反映されています。
八木信之介=支え手の象徴
八木信之介は、“前線で命を守る戦友”と“精神的な居場所をつくる後援者”という2人の支えを1人のキャラクターに凝縮した存在。
ただの脇役ではなく、やなせたかしという人間の“再生”と“創造”の象徴でもあります。
妻夫木聡の現在と代表的な出演作の歩み
演技と感性で魅せる「信頼される俳優」
カメラマン・平岩享氏によるエピソードが象徴的です。
「シャッターを切る前に“右斜め上を見てほしい”と思った瞬間、妻夫木さんはすでにその視線に変わっていた。言葉にしなくても通じる俳優」
(2020年5月21日「良い役者の条件」より)
こうした“以心伝心の演技力”こそ、今の妻夫木聡の魅力です。
最近の出演作と“進化する姿勢”
出典元:https://www.crank-in.net/gallery/news/153898/6
池松壮亮さんとの映画『本心』(2024)では、10年ぶりの共演が話題に。池松さんはインタビューでこう語っています。
「妻さんは、役としてそのまま現場にいてくれる。何も考えず、そのまま芝居ができる相手」
引用元:映画.comインタビュー 2024年11月
役者として“引き算”の演技と“覚悟”を持つその姿勢が、さすが妻夫木聡さんですね。
まとめ
妻夫木聡さんの朝ドラ初出演となった「あんぱん」。その背景には偶然の再会、実在のモデル、そして俳優としての成熟が重なった必然のような流れがありました。
彼が演じる八木信之介は、実在の人物を融合させた奥深いキャラクターであり、やなせたかしさんの人生を支えた象徴的な存在として描かれています。
これまで映画や大河ドラマで確固たる実績を築いてきた妻夫木さんが、朝ドラという新たな舞台で見せる演技は、多くの視聴者の心に温かな光を届けることでしょう。