サイバーエージェントが新設したアニメ制作スタジオ「Studio Kurm」に、アニメーター・亀田祥倫がクリエイター代表として参加することが発表されました。数々のヒット作で注目されてきた彼がなぜ新スタジオに迎えられたのか。その理由を、経歴や代表作、独自の作画スタイル、そしてStudio Kurmの設立背景と絡めて解説していきます。
亀田祥倫(かめだ よしみち)プロフィール
出典元:
生年月日:1984年3月3日
出身地:広島県尾道市
学歴:尾道市立大学 芸術文化学部美術学科 卒業
職業:アニメーター、キャラクターデザイナー
所属:WIT STUDIO
別名義:砂山好世、砂山ヶ好世、波典譲仁
主な参加作品
テレビアニメ
• 『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』(2009–2010)キーアニメーター
• 『モブサイコ100』シリーズ(2016–2023)キャラクターデザイン・作画監督・総作画監督
• 『ワンパンマン』(2015)作画監督・アクション作画監督
• 『王様ランキング 勇気の宝箱』(2023)絵コンテ・演出・作画監督
• 『真・侍伝 YAIBA』(2025)キャラクターデザイン・総作画監督
劇場アニメ
• 『犬王』(2022)総作画監督
• 『君たちはどう生きるか』(2023)原画
• 『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(2021)メカ作画監督補佐・原画
• 『映画ドラえもん』シリーズ(2017–2019)キャラクターデザイン・原画
受賞歴
• 新潟国際アニメーション映画祭「大川=蕗谷賞」(2023年、『犬王』にて)
備考
• 金田系作画の影響を受けたアクション演出で知られる。
• インタビューでは「自分の“やりたい”がないと絵が描けない」と語るなど、創作への強いこだわりを持つ。
亀田祥倫ってどんなアニメーター?経歴と特徴
下積みからキャリアの歩み
亀田祥倫(かめだ よしみち)は、日本のアニメ業界でも特に注目されているアニメーターのひとりです。若手時代から数々の有名作品に関わり、その作画センスの高さで一気に存在感を示しました。アクションシーンやキャラクターデザインに強く、観客の印象に残る表現力を持っています。
個性派アニメーターとしての強み
アニメ業界の中でも「金田系譜」を継ぐと称される個性派アニメーター。筆ペンを使った力強い線と、アオリ構図を多用するダイナミックなカメラワークで知られています。
学生時代から作画オタクとして膨大な動画を研究し、自身を「心の師匠は中村豊」と語るほど、リスペクトの姿勢を忘れない人物。アニメーター仲間からも“熱量のある描き手”として認識され、作品ごとに強い存在感を放ってきました。
また、2021年からはWIT STUDIOに所属し、若手育成にも関わるなど、制作現場を支える立場へとシフトしています。
亀田祥倫の代表作やファン・業界からの評価
亀田祥倫さんと『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』
出典元:100%より. ©スタジオ・ボンズ https://fullfrontal.moe/
亀田祥倫さんは2009年放送の『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』に原画・作画監督として参加。キャリア初期ながら、アクションや動きの表現に個性が光り、後の代表作『モブサイコ100』や『ワンパンマン』につながる作画スタイルの原点とも言える作品です。
「モブサイコ100」での総作画監督を担当
出典元:https://www.b-ch.com/titles/5242/001
2016年のTVアニメ『モブサイコ100』ではキャラクターデザインと総作画監督を担当。彼のシンプルかつ表情豊かな作画スタイルは、原作の雰囲気を損なうことなく、アニメならではの躍動感を加える重要な役割を果たしました。
「線が少ない絵って、実は描きにくいんです。ちょっとした線一本で表情が変わる。『モブサイコ』もそうで、目のサイズや口元の微妙な違いでバランスが崩れる。最初は気にしてなかったけど、周囲に言われてから“難しいんだ”と気づいて、悩んだこともありました。」
引用元:https://fullfrontal.moe/AB/から一部抜粋
「ダンダダン」でのデザインワーク
出典元:https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1726724382
2024年には『ダンダダン』で宇宙人・妖怪デザインを手がけ、その奇抜かつ恐ろしいビジュアルの原作の雰囲気を壊すことなく、アニメならではの動きと迫力を加えたことで、「原作勢ですが100億満点ですありがとう」といった声も見られ、ファンを驚かせました。
他にも名を連ねる大作群
『犬王』『ワンパンマン』『鋼の錬金術師』『シン・エヴァンゲリオン劇場版』『王様ランキング』『進撃の巨人』など、国内外で高く評価される作品に参加。業界内では「彼が参加したシーンは一目で分かる」とまで言われています。
受賞歴による裏付け
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東京アニメアワードフェスティバル「アニメーター賞」
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新潟国際アニメーション映画祭「大川・蕗谷賞」
こうした受賞歴は、彼が単なる“ファン人気のあるアニメーター”ではなく、業界全体から公式に評価されている証拠です。
クリエイター代表とはどんな役割?制作現場での立ち位置
監督やプロデューサーとの違い
一般的にアニメ制作には監督、脚本、プロデューサーといった立場がありますが、「クリエイター代表」はそれらと異なり、現場のアニメーターを代表するポジション。制作上の意思決定や表現方針に対して、クリエイター視点で提案・調整を行う役割を担います。
StudioKurmで亀田祥倫に期待される役割
出典元:https://natalie.mu/comic/news/642562
Studio Kurmでは、経営側が効率やビジネスを意識する一方で、現場の意見が軽視されがちな課題が存在しました。そこで亀田祥倫が「クリエイター代表」として参加することで、制作現場の声を経営に届ける橋渡し役になると期待されています。
サイバーエージェントが設立したStudio Kurmとは?
設立の背景と狙い
サイバーエージェントは2024年にアニメ&IP事業本部を設立し、企画・プロデュースからグッズ展開まで一気通貫で行う体制を作ってきました。しかし作品数の増加や制作環境の複雑化により、より直接的に制作現場を支える必要性が浮上。その解決策として「Studio Kurm」が立ち上げられました。
岡田麻衣子社長のコメントから読み取れる理念
代表取締役社長の岡田麻衣子氏はコメントで「最高のチームで、持続可能な創作の仕組みを築く」と語っており、単なる制作会社ではなく「新しいアニメ業界のモデルケース」を目指していることが伝わってきます。
他のアニメスタジオとStudio Kurmの違い
若手クリエイター支援と制作環境改善
Studio Kurmが他社と大きく違うのは、「若手クリエイターに活躍の場を与える」ことを重視している点です。これまでアニメ業界は厳しい労働環境が問題視されてきましたが、Studio Kurmはクリエイターの還元や待遇改善を意識した運営を掲げています。
グローバル展開を見据えたビジネスモデル
さらにサイバーエージェントの強みを生かし、広告、マーチャンダイジング、海外展開を視野に入れた戦略を持っている点も特徴的です。日本国内だけでなく、世界市場で勝負することを前提にした体制が整っています。
亀田祥倫の作画スタイルはどう凄いのか?
線の勢いと迫力ある動き
亀田祥倫の作画は、一目でわかるほど力強い線とダイナミックな動きが特徴。アクションシーンでは画面の中でキャラクターが本当に動いているかのような臨場感があります。
キャラクターの感情を引き出す表現力
彼の強みは「動かす」だけでなく、キャラクターの内面や感情を線や表情で的確に表現する点。心理描写を作画に落とし込み、視聴者の心を揺さぶります。
同世代アニメーターとの比較から見える独自性
同世代のアニメーターと比較しても、亀田祥倫は「勢いのある線」と「独自のキャラデザイン力」の両方を兼ね備えている点で稀有な存在。これがStudio Kurmに選ばれた最大の理由のひとつと言えるでしょう。
まとめ
サイバーエージェントが設立したStudio Kurmに、亀田祥倫がクリエイター代表として参加するのは大きなニュースです。彼の豊富な経験と独自の作画スタイルは、スタジオが掲げる「持続可能な制作環境」と「世界に通じる作品作り」を実現するうえで欠かせない存在となるでしょう。
アニメ業界は今、大きな変革期にあります。亀田祥倫のような実力派アニメーターが現場と経営をつなぐ役割を担うことで、より健全でクリエイティブな未来が拓けるはずです。これから発表されるStudio Kurmの作品群に、ぜひ注目していきましょう。